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タイコウチの
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その1 祭りが野原に降ってきた−名取スポーツパークにて
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夜8時すぎ、それまで観客にまじって芝生で車座に座ってビールなどたしなんでいた15,6人の人たちが薄暗がりの中をぞろぞろと野外ステージに上がり、それぞれに楽器やマイクのチェックを始めだすと、それにあわせてステージの背後の夜空には花火が打ち上げられ、雰囲気は否が応でも盛り上がる。
メンバーの担当楽器は、サックス、トロンボーン、トランペット、フルート、チューバなどのホーン類に、アコーディオン、キーボード、バイオリン、ベース、ドラムスにギターなど。格好はてんでバラバラ、ニットキャップにジャージをはいた人もいれば、ドレッド・ヘアのお兄さん、素浪人のように長髪をうしろで束ねたひげづらのおじさん、Tシャツにジーンズでわりと普通に見える人たちもいる。女性メンバーは今回は3人。
マイクチェックも終わり、そろそろ演奏が始まるかというところで、ホーン隊7、8人がすたすたとステージから降りてきて、「天才バカボン」のテーマ曲を軽快に鳴らしながら、右手から観客のうしろの方に回りこんできて 、チンドン屋のように練り歩きはじめる。それと同時に会場後方からは、白くどでかいキャデラックと黒く精悍なポルシェがゆっくりとステージに向かう。暗い中で目を凝らすと、キャデラックの後方バンパーには、腰巻きと赤ん坊の前掛けのような薄布だけをまとった年齢不詳の全身白塗りのおねえさんたちが3人立ち並び、手旗のようなものを振っている。一方、ポルシェの天窓からは銀ラメの衣装をまとった銀髪の美女が妖艶な笑顔で観客を睥睨している。白塗り半裸のおねえさん3人、おにいさん2人と、銀ラメ美女がステージに到着するころには、「バカボン」を演奏していたホーン隊もステージ上にもどり、全員がステージ上に所狭しと並んだところで、おもむろに本番1曲目、「ナーダム」が始まる。
初めてでもなぜか懐かしいメロディーが 大音響で鳴りわたり、白塗りたちは音楽に合っているのかいないのか、日本が世界に誇る暗黒系のゆったりとしているが緊張感あふれる舞踏を繰り出し、銀髪の美女は魅惑のキャバレー・ダンサーと化し、ダイナミックな踊りで観客をあおりまくる。
2002年9月15日、名取スポーツパークでの野外イベント「リンク・オブ・ミュージック」における「渋さ知らズ」のステージは、こんなふうにして始まった。1時間半ほどの演奏は、バンマス(ひげの素浪人)の指揮のもと、フリージャズというにはずいぶん親しみやすく、ジャズというには上品さに欠け、ロックというにはいわゆるカッコ良さへのこだわりが見えない、摩訶不思議な音楽空間を生みだしていた。
大団円を思わせる最後の曲「本多工務店のテーマ」では、巨大なアンプの上によじのぼった白塗りのおにいさんが、火吹きの芸を披露して、盛り上がりとともにお祭りの終わりを予感させる。お客さんは、夜の郊外の野外イベントということもあり、若い人たちが中心だったが、もう若くはないおじさん、おばさんから、腰まで白髪をのばしたホームレス風のおじいさん、赤ん坊や幼児を連れた家族連れまで、けっこういろいろだ。
渋さ知らズは、とにかく楽しい。ステージを観るたびに、ちょっとした奇蹟を目の当たりにしているような幸福感に包まれる。「祝祭空間」なんてことばも思いつくが、はたして自分の人生で、これほどに充実した、陶酔に誘われるような祭りの瞬間にこれまでの出会ったことなど本当にあっただろうか。
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名取スポーツパーク(2002/9/15)
セットリスト
天才バカボンのテーマ
ナーダム
火男
反町鬼郎
諸行でムーチョ
ライオン
DADADA
Pチャン
本田工務店のテーマ
仙頭 |
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撮影/ミズスマシ |
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